だめだ、ホーク! 超音速ヘリエアーウルフ

CIAが開発した超音速ヘリエアーウルフ。そのスタイルと言い、ストーリーと言い当時の少年たちは萌え萌えになっていたのだ。これを見てヘリのパイロットになろうと思った人も多いと聞く。Mun@geはといえばCIAの職員はみなああいう白装束なのか〜、へ〜とか思ってた(笑)。

しかしながら、航空力学はそんなエアーウルフに憧れた少年の夢をあっさりと破壊してしまうのだ。


だめだ、ドミニク。超音速なぞ出せん。

このヘリは2発のジェットを噴射することにより超音速に達する。そんな事できるのだろうか?

ヘリの場合頼みの綱が頭の上でまわるローターだ。これが水平に回ってることがくせ者なのだ。横の図を見てもらえれば理解し易いかもしれないが、ローターが反時計方向に回ってるとき右のローターは当然強い風を受けている。しかし反対側はといえば、逆に回転速度と相殺されて止まってるところよりも風を受けないのである。

ヘリがどんどん速度をあげていくと、この左側にあるローターに機体を支える十分な力が失われて、パイロットが対処できないほどの急激な姿勢の変化が突然現れる。これをブレードストールという。ここで左に傾くと思った方は甘い。機首が上がるのである。これを説明すると面倒くさいのでやめるが、本当にヘリは面倒くさい乗り物だ。

ましてや、このエアーウルフに採用されてる2枚羽根のローターはシーソー型と呼ばれていて高速は苦手だ。230km/hぐらいが良いとこだ。

しかし、物語を見るとブースターを使うときはローターを切り離してるようだ。となると機体両わきの張り出しで機体を支えてるのだろうか?たぶん支えきれない。

エアーウルフが、超音速に達するためにはどうしても翼を取り付けることが必要で、その上でぐるぐる回るローターを何とかして止めるなり格納するなりしなければならないのだが、そういう装備は見当たらない。

ちなみに前述のアイデアを施したとしても500〜650km/hぐらいが関の山だ。なぜそう言いきれるのかって? もうシコルスキーが実験してるのさ。


こいつはイカン! 秘密基地

エアーウルフは普段は人目につかない砂漠の中に隠されている。これがまた危険なところにある。狭いから?いやいや、これもストリングフェロー・ホークの腕をもってすれば楽勝だ。問題はヘリの構造上、誰が操縦してもやってくる悪魔がある。

そうセットリング・ウイズ・パワー」だ

ヘリのローターは大変な風を作り出している。これをダウンウオッシュというのだが、アルキメデスが正しければこの空気の量はヘリの重さと同じだ。つまり、ローターの下はかなり空気の圧力が高くなっているのだ。

一方、ローターの上面は換気扇と同じようになっており圧力が相当低くなっている。そこに行き場を失ったダウンウオッシュが上がってきたらどうなるだろう。空気はただその場でくるくる回るだけで、ローターは用をなさなくなり、たちまちヘリは墜落してしまうのである。それこそ石のように。これを「セットリング・ウイズ・パワー」と呼んでいる。技術者は「ボルテックス・リング・ステート」と言ってるが同じこと。

ところでこのセットリング、対気速度ゼロで垂直に降下すると案外あっさり入る。試した人の話によると3000ftでやってみたがあっという間に1000ftまで落ちたそうである(その人はもうやらねえと言ってる(笑))。

この基地は煙突の様になっていて非常に不利な状況にある。エアーウルフに特別な仕掛けがされてるとしても、ここに来るにはどうもサンティーニ航空の普通のヘリを利用しているようなので、かなりの危険を冒してこの中に入っているようである。

でも、必ずセットリングに入るって訳じゃないからいいのかな(弱気)。

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