ベル・ボーイングV-22 

「オスプレイ」

この機体が猟奇的な犯罪に用いられた場合、「凶器はヘリコプターのような物」と報道されるであろう、ヘリコプターのような、そうでないような訳の分からない空飛ぶ機械。

推進装置を傾けることによりVTOL運用をする機体は固定翼派生のティルトウィング機とヘリ派生のティルトローター機があるが、当V-22が実用化されたことによりヘリサイドが勝利を収めたということで、これは大変喜ばしいことである(笑)

新システムの全く新しい航空機の開発は、当たり前だが困難を極める。ハリアーもそうだったが、この航空機も度重なる事故に加え、予算オーバーなどの問題で幾度と無く開発中止の噂やら議論やらが交わされたのだが、それでもプロジェクトが推進されたのには深い事情がある。

もちろん某S社の大型ヘリコプターが駄作だったという事もあるが(笑)、一見最強・超豪華に思える米軍も無い袖は振れぬといおうか、装備の能力の限界により過去に大失敗をやらかした経験がある。

その大失敗とは、イラン大使館人質救出作戦である。あのとき、このような(V−22)のような機体があれば、あのような事は無かったはずであり、つまりは全世界に迅速に展開でき、さらに狭隘地に離着陸可能な装備が無かったための悲劇であった。

結局、この作戦の失敗で、数日後のイラン英大使館占拠事件とか、はては旧ソのアフガン侵攻、強引に言えば結局9.11事件まで招いてしまったワケだから、米国のこの機体に賭ける情熱は、ベル社のそれとは種類の違うモノだが、それはそれで凄まじい物があることは日本人の想像にはあまりある。

そんなわけで、どんな困難があろうともこの機体をモノにしてやろうと息巻くのは至極当然な話なのである。

さて、そんな機体だが、基本的には並列ローターのヘリコプターである。プロペラに見えるローターは、じつは全くヘリのローターのそれで、ティルトローターと言われる所以である。
背中には長いドライブシャフトにより左右反転するローターが結合されているので、エンジンを一基失っても大丈夫なようにはなっている。


ところで、誰しも疑問に思う、着陸前に「げ!ティルトしねえ!!」「な、なんだってー!?」というトラブルが起きた場合、どうするのか?
冷静に考えて、そのまま着陸したらローターはバラバラに吹っ飛んで、キャビンを貫通したり、飛行場施設に襲いかかったりしそうなもんだ。
ところがどっこい、こいつのローターブレードはカニかまぼこのようになっており、地面にあたってもホウキのようにランウエイをバサバサと掻くような構造になっている。

能力は巡航中はプロペラビジネス機とほぼ同等速度で飛行し、ホバリング任務間はスリングフックもあるし、全くヘリと同等の仕事ができる。ただ、ドデカイ機体規模の割にローターの面積が小さいため、そのダウンウォッシュはかなり強烈なモノらしく、関係者は「これが最大の問題だ」と公言する。

ところで、このティルトロータのシステムはベル社が「ライフワーク」として、かなり昔、それこそベル47が実用になったぐらい当時から心血注いで研究開発してきたのだが、このV−22の前にXV−15という、ほぼ実用機といえるぐらいの性能の実験機がある。
そのXV−15の時には「あくまでヘリの派生機」として、左手はコレクティブピッチレバー、機長は右席だったらしいのだが、このV−22は軍の要求で、機長は左席、ピッチレバーではなくスラストレバーが付いてるという。
XV−15時代からのベルのテストパイロット氏曰く

「最低だ」

らしい(失笑)