カモフ Ka-50 (ホーカム)

新世代のロシアの攻撃ヘリコプター。よく航空雑誌ではAH-64アパッチをはじめ他の攻撃ヘリコプターとの比較が掲載されるが、そもそも変わっているのは外見だけでなくその運用思想も大きく異なっているので、一概に比較はできない。

機体もテイルロータがないので小型に見えるが、最大離陸重量はアパッチなんかに比べるとずっと重く、携行する武器の量も多い。
それというのも、この機体は対戦車戦闘が主な目的ではなく、固定翼攻撃機の任務である近接航空支援による地域制圧が主たる任務であるからだ。

機体の特徴はあまりにもありすぎて(笑)紹介に困りすぎるぐらいだが、やはり注目すべきは2重反転式ローターであることだろう。2重反転式はいいことも多いのだが、だめな部分ばかり目立ってカモフ以外の有人機ではあまり見られない形式である。
カモフが2重反転ヘリの実用化に尽力してきたのは艦載機に小さな高性能機を開発する必要があったからで、これがなんの制限もない陸上機で成功するなんてだれも思ってなかった

ところがここであえて陸上の中型機に2重反転である。で、競争作で実績もあるミル設計局製作のMi-28に見事勝利して見せたわけだから、この会社のエンジニアの根性たるやたいしたものと言わざるを得ない。

一般に2重反転式は速度が遅く(注※一般的な構造では。シコルスキーのABC機とかはどうだとか言わないこと(笑))、オートロができないうえにマスト周りの構造が複雑で信頼性に乏しいという欠点があるのだが、このヘリではそのほとんどがなぜか解決されているのだ(笑)

オートロができないという点は、タービンエンジンのポッド化と複式化で両エンジンが止まる可能性を極限まで排除したほかに、射出座席というかなり強引な方法で一応の解決を見せている(笑)

高速性も優れており、これは機体に取り付けられた固定翼が揚力の18%を負担することを考慮しても、尋常でない高速性能である。
一般に2重反転機は速度を出すと上下のローターがぶつかってしまうので上下のローター間隔を大きくとって回避する。しかし空気抵抗がかさんで速度が落ちるという永遠のジレンマに突入するのだが、この機体は別にそんなこともなく、至って上手くまとめられている(実は、カモフではKa-50のテスト中に上下ローターがぶつかって機体とパイロットを失っているのだが)。

欠点を解消した事で今度は2重反転のいいところが逆に目立つ。マスト周りの旋回性能がいいから旋回砲塔は廃止してしまったし、CG(重量重心)の許容も大きいので大きく長い武器を積める。セットリングにも入らない。ロシアの軍隊によるとテイルローターのダメージによる墜落公算は25%にも達するらしく、これをなくすことができるのも有利。

ところで二重反転式は全パワーをローターで使えるのでホバリング時有利と書かれたマニア本もあるが、上下ローターの空力の干渉が大きいため、実際の所はというと別々に2つのロータを回した場合に比較して実に40%ものパワーロスがある。

機体性能を考えると小型だが、パイロットが1名であるのでこのことも機体の小型化に寄与している。パイロット1名運用のため、機材の自動化はかなり進んでいると言われるが、これも実機を見たことがないので何とも言えない。
しかしナイトビジョンをかけた夜間の機上操作や、計器等のスキャニングは機材の自動化を考慮してもかなり制限されてしまうため、一部ではライバルのMi-28の評価が再び高まっているというウワサもある。

このためKa-52という並列二人乗りの機体も作ってカモフは様子見をしているようだが、世界的な軍縮ムードとじり貧のロシア経済の影響で、Ka-50も52も配備の話はほとんど聞こえてこないし、それはMi-28についても同様である。

なにはともあれ、カモフ、カマン、ボーイング(パイアセッキ)、ベル、ヒューズ(MDヘリコプターズ)、この5つのメーカーは自社の信念に基づき、特殊な形式のシステムを長年研究し完成させたという点で、十分賞賛に値すると言えるだろう。

 

ちなみに太い胴体はがらんどうの部分が多く、通信電子機器の間に人員が2〜3名ぐらい乗れることは有名。