ボーイング・バートル
CH-47 Chinook 

 

はっきり言う。このヘリは化け物である。

緊急最大出力4600馬力以上を発生するエンジンを双発に積んで、空荷ならば片肺でもホバリングから普通に離着陸可能である。コレクティブを制限一杯まで引き上げたら昇降計が振り切れるとも言われている。

その大パワーを利して低空では小型機顔負けの高機動をこなし、高空ではタンデムローター機の特性から最高170ノット(約315km/h)という高速で移動できる。またセットリングに入りにくいという特性を持っている上、テールローターがないのでLTEの心配もなく、安全性もぴか一である。つまり、相当無茶な運用が可能である(笑)。
しかも、前後のローターがお互いダウンウォッシュをかき切っているのでセットリングにも入りにくい。

機体規模ではより大きいMH-53と言う機体が日本にはあるが、チヌークの場合スリングフックが3ヶ所もあるのでより多くの荷物を安定して輸送できる。

機内に荷物を搭載することに関しても、胴体が恐ろしく広く、テールブームがないので、トラックやフォークリフトがすぐそばまで容易に、しかも安全に接近できる。

また、機体は水密構造であり水陸両用である。言うこと無しである。
まともに金がある軍隊、重物資輸送会社ではこぞってこの機種を買っている。このクラスのヘリとしては異例なほどの機数が全世界を飛んでいる。


タンデムローター機は複雑、重い、コストが高い以外に航空機の概念からみると欠点というのがない。いままでの説明を見ていただいた方はなんでこれがヘリの定番にならないか不思議であるだろうと思うことだろう。でも、そうではない。

タンデム機実用には米英露各国各メーカーが挑戦したが、いずれも失敗している。

じつは操縦が恐ろしく難しいのだ。考えてみたらヘリが2機合体しているようなものだ。 好き勝手に前後のローターが踊りまくるのだ。
しかも独特の操縦特性がある。例えば、前進するときにはスティックはやはり押すのだが、そのままにしているとどんどん前傾する。なのでスティックを引いて釣り合わせると、なんと元の位置よりの引きの位置になるのだ。
つまり、速度を出すにはスティックを引かなければならない(!)

なので、タンデム機を飛ばすには安定性増加装置(SAS)+アルファの付与が必要になるのだが、この開発が尋常でなく大変なだったらしく、結果パイアセッキ社(現ボーイング)だけがモノに出来たのである。

このテクノロジー全開の現世においても、この安定装置は未だアナログ制御であるらしい。そのためボーイング社にはこの「アナログ安定装置の原器」があって厳重に保管されているという都市伝説がある(爆笑)

とりあえず、タンデムローターヘリで現在生産され、飛行している機体はこの1機種だけだ。
ちなみにV−107/CH−46はとうの昔に米国での生産が終了し、全世界の部品は川崎重工が生産しているらしい。