アエロスパシアル AS315B
アルウェットIII (ラマ) 

もはや神話の域に到達しつつある、カリスマ的超高性能ヘリコプター。

ヘリをよく知らない人にとっては「なんだ、こんな古めかしい機体」と思われるかもしれぬ。だが、航空ショーでF-15の隣に置くぐらいの扱いがあってもいいぐらいのヘリだ。しかしながら、メジャーな航空雑誌で紹介されたことはほとんどない。

開発当時、アエロスパシアル社(現ユーロコプター社)には小型のAS315アルウェットII(世界初のタービンエンジン機)とやや大きいAS316アルウェットIIIという機体があったのだが、高地、高温でも運航できるよう、AS315の機体にAS316のエンジンと空力関係を移植してみたのがこの機体である。

その結果、とんでもない高性能機が誕生した。いうなればスーパーカブに200ccモトクロッサーのエンジンをつんだのと同じようなものだ。

特に高高度性能は素晴らしく、1972年にはヘリコプターとしては世界最高の12,442m(!)という最高高度を記録した。おそらくもうこの記録は破られないだろう。

この機体は、この高性能さゆえ、世界各地に売られていった。無骨な機体構成は無駄が無く物資輸送に大活躍したが、なによりこの機体がこんなに神々しいモノになったのは、アルプスをはじめとする、山岳地帯での救助活動があったからだろう。

もう、他の機体では近づくことすらできない山岳波渦巻く高地でホバリングできるのはこの機体だけであったから、この機体とヤマに熟知したクルーが数多くの人命を救い、多くの亡骸を遺族に送り届けた。もはや機械の域を超えた、救い神である。

そんな機体なわけだから、黎明期に出た機体にかかわらず、1990年代後半まで生産が続けられていた。

現在は、物資輸送がより重く大きいモノを扱うようになったことと、老朽化のため引退の一途であるが、これに変わる機体というのが、非常に高価なA109K-2ぐらいしか存在しないため、まだまだ使い続けられるに違いないし、飛んでもらわないと困る(爆笑)

引退機はスクラップやその辺の公園などに野ざらしなど絶対せずに、所沢や岐阜などのきちんとした博物館で、びっかびかにワックス掛けして、その数多くの実績を紹介しつつ展示するのが良いだろうと思う。